桜姫
産まれたその時からずっとこの子に心ひかれていたと思います。
顔立ちも優しげですが、性格もおっとりしていてかわいらしいんです。
他の子よりいつもワンテンポ遅れているし、頼りないし、
守ってあげたくなるような子です。
桜姫、という名前は歌舞伎の演目「桜姫東文章」(四世鶴屋南北作)からとりました。
2004年7月に、19年ぶりに玉三郎さんが桜姫をなさったこと(観られたこと)を記念して名付けました。
桜姫は坂東玉三郎さんの当たり役・出世作品のひとつです。
高貴な姫君・桜姫が数奇な運命にもてあそばれ、女郎にまで身を落とすけれど
最終的にはお姫様に戻ってめでたし・めでたしで終わります。
お姫様姿の玉三郎さんの美しさは言うまでもありませんが、
女郎に身をやつしていてもそこはかとなく漂う気品や艶っぽさは
この人にしか出せないと私は思います。
私にとって、桜姫という名前はほぼ玉三郎の代名詞のようなものなんです。
桜姫の名前を呼ぶたびに、2004年7月の舞台が思い出されて幸せな気持ちになります。
お姫様に仕える腰元になったつもりで、桜姫のお世話をしたいと思います。
(ああ……、なんてバカなんだろう、私って)
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